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新しい車載エッジとその仲間たち: SOAFEE

2023/06/08 9:00:00

本記事では、SOAFEEが注力するクラウドベースの車載アプリケーション開発とSOAFEEにおけるイーソルの役割について解説します。
(※本内容は、イーソルの英語版Blogで2023年4月に投稿した記事の日本語版です。)


soafee

イーソルがメンバーに

イーソルは、SOAFEE(Scalable Open Architecture for Embedded Edge)のSIG(Special Interest Group: 分科会)に加盟しました。SOAFEEは、自動車メーカー、半導体メーカー、クラウド企業、およびオープンソース/独立系ソフトウェアベンダーが参加する業界主導の共同プロジェクトです。
イーソルは、SOAFEEパートナーとして、ミックスド・クリティカルな車載アプリケーションのためのクラウドネイティブなアーキテクチャを開発する企業を支援していきます。このアーキテクチャはオープンソースソフトウェアをベースとし、商用および非商用で提供されるものを取り入れる予定です。

通常のクラウドサービス

クラウドサービスとは、Netflix、Spotify、WhatsAppのように、スマートフォン、PC、デジタル家電(スマートTV、インターネットラジオなど)でおなじみのサービスです。これらのクラウドサービスは、長年にわたり自動車でも提供されていますが、その実行は特別に保護されたソフトウェア領域(サンドボックス)内に限られます。

これらの領域があることにより、アプリケーションのエラー、クラッシュ、セキュリティ脆弱性があっても、物理的な事故を起こさずにすみます。アプリケーションによるスマートフォンの速度低下やアカウントデータの漏洩は好ましくないリスクですが、いずれも生死に直接影響することはありません。

クラウドでの開発

一方、今では何百万ものクラウドサービス開発者が、ソフトウェア開発プロセスにもクラウドを活用しています。サブコンポーネントレベルから最終的にはアプリケーション全体に至るまで様々なステージでの、クラウドサービスの拡張、構築、テストを24時間体制で行っています。結果として、実稼働バージョンを常に利用可能な状態で維持しながら、クラウドサービスの機能を変更できるようになりました。

長年、このようなことは安全上の理由から自動車業界では考えられないことでした。不具合は何とか修正できたとしても、機能の変更や拡張の導入はいかなる環境においてもあり得ませんでした。コードに変更があれば、必ず新たなエラーや意図せぬ副次的影響のリスクがあるからです。

クラウドサービス開発者は、継続的テストを通じてこの問題を解決してきました。機能を拡張する一方で、自動的に広範囲なテストが並行して実行されることで、継続的な拡張が実現します。

SOAFEEの焦点: クラウドでの安全な機能開発

SOAFEEは現在、厳しい機能安全要求を満たす車載アプリケーション開発のための環境の構築に注力しています。それはNetflixのようなクラウドサービスではなく、OTAに関するものでもありません。デジタルツインとしての自動車をクラウド上に配置することで、車載用アプリケーションの開発者が、安全性を考慮に入れつつ仮想環境のメリットを活用できるようにすることです。

クラウドハードウェアの演算性能は非常に拡張性が高く、複雑な機能をクラウド上で広範囲にテストすることができるので、開発時間を大幅に短縮できます。SDV(Software-Defined Vehicle:ソフトウェア定義型自動車)というキーワードが示すとおり、これから先、自動車の機能は、ソフトウェアによってますます実現されるでしょう。しかしながら、大規模なソフトウェアシステムには、より広範なテストシナリオが必要です。ローカルな開発サーバーは遅かれ早かれ限界に達しますが、クラウドの場合、必要に応じて演算能力を足したり引いたりできます。
納車後のバグ修正だけでなく、新機能の追加も可能になるはずです。前述のとおり、このことはNetflixのようなスマートフォンアプリだけでなく、高度顔認証やLEDウィンカーへの表示エフェクトの追加など、安全関連の機能にも当てはまります。

機能安全アプリケーション用OS

SOAFEEにおけるイーソルの役割は、ソフトウェア定義型自動車の今後のOEMソフトウェアアーキテクチャのために共通のプラットフォームを定義することです。その実行において、イーソルは、機能安全開発プロセスに関連する専門知識や、それに対応するリアルタイムOSおよびハイパーバイザーを活用していきます。
また、SOAFEEは標準的なHPCとしてArm Neoverse CPUのようなメニーコアハードウェアを想定しています。現在のところメニーコアに対応した商用リアルタイムOSを提供できるのはイーソルのみです。
シングルコアまたはデュアルコアの時代に開発された従来のリアルタイムOSには、アプリケーション全体の速度を低下させる通信上のボトルネックが見られます。CPUコアが1つや2つのときは問題ありませんでしたが、今や半導体サプライヤは車載用として128コアのArm CPUを提供しています。車載組込みシステム分野の開発者の多くにとって、現時点では考えられないことですが、じきにさらに多くのコアを内蔵したチップが登場することでしょう。

こうしたハードウェア上に機能安全アプリケーションを構築する場合、イーソルのeMCOSは、複雑なシステムに最適なリアルタイムプラットフォームとなるはずです。

eMCOSの詳細ページはこちら

Michael Grabowski,
Senior Product Marketing Manager

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About Michael:
Michaelは25年にわたり、組込みアプリケーションの分野に携わってきました。爆発危険個所用ガスセンサの製品開発エンジニアとしてスタートし、さまざまな業界に関わった後、システムエンジニアとして32ビットMCUのチップ製造の分野へと移り、最終的には、プロダクトマネージャーとして車載用64ビットマルチコアSoCを担当しました。2020年4月より、イーソルで、組込みソフトウェア製品のプロダクトマーケティングマネージャーとして、特に車載・産業アプリケーション用64ビットマルチコアSoC向けリアルタイムOSの分野を担当しています。

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