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SDV量産開発のアジリティと品質を両立させるルネサス&eSOLのソフトウェア開発ソリューション

2025/02/19 10:00:00
eSOLはルネサスエレクトロニクス社と長きに渡って強固なパートナーシップを築いており、RH850からR-Carファミリまで同社の製品を幅広くサポートしています。昨今、SDV時代の到来により開発サイクルの短縮と品質確保という、相反する要求を同時に満たす必要があるため、迅速に開発に着手しシームレスに製品化するためのソリューションが求められています。

このような目的に最適なのが、ルネサスエレクトロニクス社が提供する開発環境「R-Car S4 Whitebox SDK」と、eSOLが提供するAUTOSAR準拠の車載プラットフォームソフトウェア「AUBIST」およびリアルタイムOS 「eMCOS®」を組み合わせた、SDV開発のアジリティとミッションクリティカルな品質の確保を両立させるソリューションです。

R-Car S4 Whitebox SDK はOSSをベースに構築されており、FoC(Free of Charge)ライセンスでトライアルが容易であるため、早期の開発着手が可能になります。また、R-Car S4 Whitebox SDKを用いて開発したシステムを量産段階に移す際に、AUBISTおよびeMCOSを用いることでシームレスな移行が可能になり、量産開発に適応したミッションクリティカルな品質を担保することができます。

本記事では、本ソリューションの特長やメリットについて詳しく解説するほか、OSS環境と商用のソフトウェア環境での互換性について事例を交えて紹介いたします。

 


目次

 

早期プロトタイピングを可能にするR-Car S4 Whitebox SDK

R-Car S4 Whitebox SDKは、ルネサスエレクトロニクス社が提供するコネクティッドサービスおよびゲートウェイアプリケーションの開発を加速するために最適なオープンソースベースのソフトウェアパッケージです。

R-Car S4 Whitebox SDKは以下に挙げる3つの特長があります。これらにより、デバイス評価やアプリケーション開発の早期着手を可能とし、Time to Marketの短縮の実現に貢献します。

  1. Flexibility
    主にオープンソースで構成されているため、SW stackをカスタマイズすることができます。この開発環境はWebから入手可能です。また、Free of Chargeのソフトウェアを使っているため、ユーザはライセンスの問題を回避して簡単に使い始めることができます。

  2. Usability
    ユースケースに応じたサンプルアプリケーションやリソースモニタリングツールをAll-in-one packageで提供しており、容易にコネクテッド/ゲートウェイの機能テストや試作を行えます。リソースモニタリングツールでは、可視化が難しいR-Car S4のCPU負荷、ルーティング性能などを可視化することが可能です。

  3. Scalability
    R-Carコンソーシアムのパートナーソリューションとの親和性が高く、自由にソリューションを組み合わせたり置き換えることができます。同じソリューションでも複数のパートナーのソリューションから選ぶことができ、お客様の製品にあったソリューションを選択いただくことが可能です。

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eSOLでは R-Car S4の全クラスタ(Cortex-A55, Cortex-R52, G4MH)で動作するスケーラブルリアルタイムOS『eMCOS  SDK』やAUTOSARプラットフォーム『AUBIST』を提供しており、量産品質の製品とお客様の要望にきめ細かく対応できるエンジニアリングサービスの両輪で、製品導入初期のトレーニングやコンサルティングから、量産工期の作り込みに至るまで、お客様の製品開発をトータルでサポートしています。

前述のR-Car S4 Whitebox SDKとeMCOS、AUBISTを組み合わせることによって、開発フェーズごとに適切な開発環境を使用できるようになります。

PoC開発/仕様策定フェーズでの要件は『フィジビリティスタディ用のソフトウェア』が必要なことです。契約締結や輸出管理が不要なため即時利用可能なR-Car S4 Whitebox SDKを使うことで、PoC開発/仕様策定フェーズ期間を短縮してフィジビリティスタディを行うことが出来ます。

量産開発フェーズでは、『ソフトウェアの信頼性・安全性を確保する』ことが求められます。eMCOSやAUBISTは車載製品に適した品質を備えており、量産製品でも安心してご利用いただけます。

しかしその一方で、R-Car S4 Whitebox SDKとeMCOS、AUBISTを組み合わせることによって新たな課題が発生します。PoC開発・仕様策定フェーズ⇒量産開発フェーズで開発環境が変わることになるため、異なる開発環境でも開発を引き継げるようにしなければなりません。そこで、ルネサスエレクトロニクス社とeSOLでは、この課題を解決するためにR-Car S4 Whitebox SDKからeMCOS、AUBISTに移行してもアプリケーションを再利用できる工夫を行いました。これによって、開発フェーズごとに開発環境を切り替えてもアプリケーション開発をシームレスに移行することが可能になります。

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R-Car S4 Whitebox SDK & AUBIST連携デモ

前述の開発環境を使用して実際に動かした様子がこちらです。(写真1)

250218_3写真1 R-Car S4 Whitebox SDK & AUBIST連携デモ


2台のR-Car S4 Starter Kit(以下、S4SK)がLinux PCと繋がっており、各S4SKのG4MHマイコン上でR-Car S4 Whitebox SDK/Trampoline OS、AUBISTが動作しています。Trampoline OS上には AUTOSARとのI/F差異を吸収するCompatible Layerを実装しており、Trampoline OS上で動かしたアプリケーションソフトウェアをそのままAUTOSARプラットフォームであるAUBISTで動かすことが出来る工夫を施しています。

また、Cortex-A55の場合についても、eMCOS SDKはPOSIXインタフェースを備えたリアルタイムOSですので、R-Car S4 Whitebox SDK/Linux上で開発したアプリケーションをシームレスにeMCOS POSIXに移行することが可能です。(但し、Linux独自APIやライブラリを使用している場合には、Linux以外のPOISX OSで動かすためには移植作業が必要になるため注意が必要です)

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最後に

今回は、ルネサスエレクトロニクス社のR-Car S4 Whitebox SDKとeSOLが提供するソフトウェアプラットフォームの連携事例について紹介しました。

OSSベース・FoC(Free of Charge)ライセンスで利用可能なR-Car S4 Whitebox SDKと、商用・量産品質のeMCOS SDK、AUBISTを組み合わせることで、お客様製品の迅速な市場投入をサポートします。ご興味がございましたら、お気軽にお問い合わせください。

本記事で紹介したデモ用のアプリケーションは、 ルネサスエレクトロニクス社より GitHub で R-Car S4 Whitebox SDK として公開されています。詳しくは、R-Car S4 Whitebox SDK Application Noteをご確認ください。

 

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ビジネスマネジメント本部 技術営業部 M.I

 

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