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ゲームエンジン「Godot(ゴドー)」とは?特徴やUnity/Unreal Engineとの比較、今後の展望を解説

2024/11/28 10:00:00

近年、ゲームエンジンはグラフィック、サウンド、物理法則、アニメーションなどの多機能化が進み、複雑な処理も簡単に扱えるようになっています。そのため、ゲーム制作以外の用途で利用される場面も徐々に増えてきました。

本記事では、ゲームエンジンの活用シーンが広がっている背景を踏まえ、そもそも「ゲームエンジンとは何か?」を簡単に解説し、その中でも最近注目を集めている「Godot(ゴドー)」とはどのようなエンジンかについてご紹介します。

 


目次

 

ゲームエンジンとは?

ゲームエンジンは、グラフィックスやサウンド、物理シミュレーション、入力処理、ネットワーク機能など、ゲーム制作に必要なさまざまな要素を一つにまとめた統合開発環境です。
これにより、開発者は複雑な処理を効率よく実現し、異なるプラットフォームにも対応した高品質なゲームを制作できるようになりました。
また、近年さまざまな分野でXR[*]の活用が進んでいますが、これらの機能を備えたゲームエンジンはXR体験の開発においても不可欠なツールとして、ますます注目されています。

[*] VR(仮想現実)、AR(拡張現実)、MR(複合現実)といった現実と仮想空間を融合させた体験を実現する技術の総称。

もともとはゲーム制作向けに発展したこの技術ですが、近年ではその高機能性が評価され、以下などのさまざまな産業分野での利用が広がっています。

  • 映画やアニメ向けのリアルな3DCG制作
  • 教育分野でのインタラクティブな教材開発
  • 医療訓練や製造業におけるデジタルツインを活用したシミュレーション
  • 建築業界における、3Dモデルを用いた設計段階での仮想空間シミュレーションや、3Dによる完成後の内装・外装のリアルな可視化

ゲームエンジンの活用範囲は、ゲーム制作にとどまらず、幅広い分野で革新をもたらしています。

従来から業界標準として利用されてきたゲームエンジンとして「Unity」と「Unreal Engine」が挙げられますが、最近ではそれらに加え、新たな選択肢として「Godot」が注目を集めています。

 

Godotとは?

Godotは、2014年に開発された2D/3Dゲームエンジンで、クロスプラットフォームに対応したゲーム開発が可能です。
Windows、macOS、Linux、Android、iOS、Webなど、幅広いプラットフォームへのデプロイがサポートされています。
GodotはMITライセンスのオープンソースソフトウェアであり、誰でも無料で使用でき、ソースコードを自由に変更・拡張することができます。

Godotでは、ゲーム開発を行う際のプログラミング言語として、主にGodotの独自言語であるGDScriptが使用されます。GDScriptはPythonに似た文法を持っており、プログラミング初心者にも扱いやすい特徴があります。
また、本記事執筆時点(2024年11月)で最新安定版のGodot 4.3では、C#も利用可能です。
さらに、エンジンをコンパイルせずにネイティブコードを実行する仕組みであるGDExtensionを用いれば、C++を利用することもできます。


Godotの特徴、Unity/Unreal Engineとの比較

Godotは、無料で使用可能なオープンソースソフトウェアであることから、柔軟なカスタマイズや機能拡張が可能で、独自のニーズに合わせた開発を容易に行うことができます。
また、Godotには独自のシーンシステムが採用されており、ゲームやアプリケーションを「シーン」と呼ばれる単位で構成します。
シーンは非常に柔軟で、他のシーンをネストできるため、大規模なプロジェクトにおいてもシーンの分離やリソースの再利用が簡単に行えます。

Godotのシーンシステムは直感的に使いやすく、開発者が効率的に作業できるように設計されています。

さらに、Godotのエディタ自体がGodot上で動作しており、開発者はエディタ自体をカスタマイズして、自分の作業フローに合わせたツールを作成することができます。エディタは軽量で動作が高速であり、開発者は快適に作業を進めることができます。

以下は、GodotをUnityやUnreal Engineと比較した表です。

  Godot Unity Unreal Engine
初リリース 2014年 2005年 1998年

価格
(年払い)

無料(MITライセンス)

Personal:無料

Pro:302,940円

Enterprise:445,500

Industry:735,900円

基本利用:無料


年間収益100万ドル超
ゲーム利用
:5%のロイヤリティ

非ゲーム利用
:$1,850

開発言語

GDScript

C#

C++ [*]

[*]GDExtensionを用いることで利用可能。

C#

Blueprint

C++
エディタ実行環境

Windows

macOS

Linux

Android (実験的)

Web (実験的)
Windows
macOS
Linux
Windows
macOS
Linux
デプロイ可能な
プラットフォーム

Windows

macOS

Linux

iOS

Android

Web

ゲームコンソール [*]

[*]ライセンスの関係で、ゲームコンソール向けの移植はサードパーティの代理店への依頼が必要。

Windows

macOS

Linux

iOS

Android

Web

ゲームコンソール

Windows

macOS

Linux

iOS

Android

Web

ゲームコンソール

※表の情報の引用元は記事の最後に記載します。
※表の情報は本記事執筆時点(2024年11月)の情報です。最新の情報は公式HPをご確認ください。

 

今後の展望

Godotの今後の発展は、ゲーム開発分野だけでなく、産業用途や教育、シミュレーションなど様々な分野で期待されています。
オープンソースであるGodotは、コスト面での優位性と高いカスタマイズ性により、より多様なプロジェクトや業界のニーズに応える基盤となっていく可能性があります。
これにより、エンタープライズレベルでの採用や大規模プロジェクトでの使用が増加し、開発コミュニティとエコシステムの成長を加速させることが予想されます。
こうした利点に加えて、Godotは透明性の高いオープンソースソフトウェアとして、多くの企業や開発者から注目され、プロジェクトに採用する動きが広がっています。
これにより、コミュニティ主導の改良が進み、今後も進化し続けることが期待されます。


Godotは、XR分野でも機能強化を積極的に進めています。
20249月には、Khronosグループ[*]GodotOpenXRの統合に向けた取り組みを発表し、GodotOpenXRのテストベッドとして採用することを明らかにしました。
これにより、
XR向けの新しい拡張機能やAPIの検証が可能になり、オープンソースを基盤としたXR開発がさらに進展しています(詳細はKhronosの発表
をご覧ください)。

また、Meta社との協力を通じて、Meta Questシリーズのサポートの最適化も進められています。これらの取り組みにより、GodotXR開発にも適した柔軟なプラットフォームへと成長を続けています。今後も、XR対応のさらなる進化に期待が高まります。

[*]ロイヤリティーフリーでオープンな標準規格を作成することを目的としている技術コンソーシアム。

 

最後に

本記事では、ゲームエンジンGodotの特徴やメリット、今後の展望について解説しました。
現状のGodotには、日本語情報が少ない、オープンソースソフトウェアであるため品質やサポートが弱い、開発実績がまだあまり多くない、といった課題もあります。

イーソルでは、GodotにROS 2を組み込んだロボット遠隔制御システムの開発をはじめ、Godotを使用した開発実績があります。

Godot×ROS 2:産業向けXRプラットフォーム「eXRP」デモ動画

 
また、受託開発において様々な分野で豊富な実績があり、産業分野のシステムについても幅広い知見があります。
ゲーム開発のみならず、産業分野でのGodot活用の検討や、Godotでのシステム開発の委託など、Godotに関して何かお困りごとがありましたら、弊社までお気軽にご相談ください。


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Entertainment課 Y.K

 

引用元

 

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