eSOLは、2025年6月27日(金)にプライベートフォーラム「eSOL Technology Forum 2025」を東京コンファレンスセンター・品川にて開催しました。
この度、eSOLは創業50周年という節目の年を迎え、本フォーラムを開催できたことをうれしく思います。
お忙しい中、ご来場いただきました多くのお客様に厚く御礼申し上げます。
本記事では、過去最高のご来場者数となりました「eSOL Technology Forum 2025」の様子をレポートします。
※eSOL Technology Forum 2025の開催概要はこちら
<講演>“将来目指すところが聞けた” “最新の技術トレンド” “SDVの理解が進んだ”などの声
今年のテーマは「日本のソフトウェアの現在地と向かうべき未来 – A new SDV for Japan, for every vehicle -」です。
弊社の講演に加え、ウーブン・バイ・トヨタ株式会社、マツダ株式会社、デロイト トーマツ コンサルティング合同会社より、日本のモノづくり産業を牽引されているキーパーソンをゲストスピーカーとしてお招きし、それぞれの立場から具体的な取り組みや今後の展望についてご講演いただきました。
本フォーラムでは、新代表取締役社長CEO兼CTOに就任した権藤の「One Team」というメッセージのもと、日本のモノづくり産業の未来を共に考える機会となり、多くの来場者の皆様から非常に高いご評価を頂きました。
誠にありがとうございました。
【eSOL講演①】
日本のソフトウェアの現在地と向かうべき未来 - A new SDV for Japan, for every vehicle -
イーソル株式会社 代表取締役社長CEO兼CTO
権藤 正樹
講演概要
ソフトウェアはモノづくりに大きな変化を長年与えて来たが、近年の変化の速度は急激に増しており、ソフトウェアをマスターしなければ、競争力のあるモノを作り出すことは出来なくなる時代が来ている。日本のソフトウェアは、ICTやスマホの世界を見れば、欧米のプラットフォーマーやベンダーに席巻されてしまった。なぜそうなってしまったのか、何が起きたのか、そして現在のモノづくりにおけるソフトウェアはどんな状況でどこにいるのか。どこに向かえば日本にとって最後の砦といえるモノづくり産業が同じ道を辿らずに、生き残ることが出来るのか。本講演では自動車を代表にモノづくり産業の日本のソフトウェアの現在地を見つめ、その向かうべき未来を、日本のための新たなSDVという視点で議論する。【招待講演①】
SDV: An Industry Disruption(SDV: 産業の革新的変化)※同時通訳あり
ウーブン・バイ・トヨタ株式会社 Vice President and Head of Arene
Jean-François Campeau(ジャンフランスワー・カンポー)氏
講演概要
SDV(Software Defined Vehicle)の概念が業界で共通認識を得るにつれ、既存のOEMは根底を揺るがすような課題に直面している。BEV OEMが投入する新製品は、驚異的なペースで顧客を魅了している。本講演では、新規競合企業が台頭する中で、既存OEMが直面する課題を理解するため、いくつかの問いを提示する。そしてソフトウェアが競争のツールとして影響が大きい中で、今後検討すべき潜在的な領域を探る。As the concept of Software Defined Vehicle gets more consensus in the industry, the legacy OEM face challenges that are shaking them to their core. New products introduced by BEV OEMs are seducing customers at an impressive pace. This talk will expose some questions to help understand the issues legacy OEMs are facing in the rise of these new competitors and explore some potential areas to review going forward while software is being leveraged as a tool to compete.
【招待講演②】
SDVにおけるマツダのライトアセット戦略
マツダ株式会社 執行役員 統合制御システム開発担当
今田 道宏 氏
講演概要
スモールプレーヤーとして大きな変革の渦を泳ぎ切るためには、マツダらしい大胆な戦略が必要である。マツダが考えるSDV、ライトアセット戦略のコンセプトについて概説した後、長年取り組んできたモデルベース開発を最大限に活かしながら、ライトアセットのアプローチに基づいたSDVへの攻め手とその狙いについて解説し、マツダが向かう未来の姿を描く。【eSOL講演②】
SDV実現に向けたフルスタックエンジニアリングによる挑戦
イーソル株式会社 執行役員 エンジニアリング本部長
佃 明彦
講演概要
SDVの実現に向けては、機能単位・部品単位での開発から、全体最適を志向した開発への転換が求められる。しかし、従来の役割分担を維持したままでは、その実行は容易ではない。当社が提唱するフルスタックエンジニアリングは、マクロとミクロの視点を交えて全体からシステムを考える技術アプローチである。本講演では、ここ数年での量産適用を視野に入れた際にSDV実現の成否を左右する重要な要素と、フルスタックエンジニアリングの実践に向けて今後エンジニアリングチームが進むべき方向性を提言する。
【招待講演③】
SDVからAI-Defined Vehicleへの転換期の到来と最前線動向
デロイト トーマツ コンサルティング合同会社 執行役員 Business Model Innovation Unit Leader
周 磊 氏
講演概要
自動車業界は、SDVからAIを核としたAI-Defined Vehicleへと進化の局面を迎えている。AI-Defined Vehicleにおいては「E2E自動運転アルゴ」、「物理法則に即した仮想シミュレータであるWorld Model」、「クローズドループAI開発の仕組み」が重要基盤であり、特にTech系プレイヤは整備を進めAI開発を加速させている。本講演では、最先端のモビリティにおけるAI技術やTech系プレイヤの最新AIソリューションに関する動向とそれに基づくインサイトを紹介し、今後のモビリティ・ロボティクス産業の展望を考察する。【eSOL講演③】
クルマ維新 〜 SDV時代の日本の挑戦 〜
イーソル株式会社 取締役 CBO兼ビジネスマネジメント本部長
宇田 智之
講演概要
SDVの潮流はもはや避けられず、日本の自動車メーカーもその実現に向けた準備を進めている。しかし、開発の中核となるソフトウェア領域では、依然として欧米企業が市場を席巻し、日本企業の競争力に影響を与えている。本講演では、SDV時代における日本企業の競争戦略を再考し、ソフトウェア開発の主導権を握るための具体的な課題と打ち手を議論する。デジタル競争で日本が優位に立つために、いま何をすべきかを探る。
<12種類のデモ展示>多くのご来場者様にご覧いただき大盛況
会場ホワイエでは9種類のデモを展示いたしました。各講演の休憩時間やネットワーキングでは多くのお客様で賑わい、活発な情報交換が行われました。
<デモ展示一覧>
#1 eSOL Full Stack Engineering Showcase: Enabling SDV

SDVの実現には、プラットフォームの各技術階層を統合するFull Stack Engineering(FSE)を通じて良いコンピュータを作り上げることが不可欠です。
ブースでは、eSOLとパートナー各社のソリューションを連携させ、FSEによるカスタムプラットフォーム開発の一例として自動バレーパーキング(AVP)システムを実現させたデモをご紹介しました。
OSレイヤからビークルAPIを通してアプリケーションレイヤに至るソフトウェアスタックのすべてと、それらを支えるシミュレーション環境を組み合わせて一つのデモに構築した大規模なメイン展示です。
#2 AUTOSAR準拠ソフトウェアプラットフォーム「AUBIST」

車載ソフトウェアプラットフォームの標準規格であるAUTOSARに準拠した製品群「AUBIST」(HPC向けのAUBIST AP/マイコン向けのAUBIST CP)および、開発支援サービスをご紹介しました。
#3 SIL-HIL Coupling / Hybrid Simulation Systems

dSPACE社とeSOLでは、VEOSとAUBISTの連携によりAUTOSAR準拠開発を効率化する環境を提供しています。ブースでは、仮想ECUと実ECUのハイブリッドシミュレーション環境をデモ展示しました。
#4 モデルベース開発環境「Ansys SCADE」×AUBIST

Ansys社とeSOLの連携により車載ソフトウェアのモデルベース開発を支援します。ブースでは、SCADEで構築したECUアプリケーションをAUBIST上で実行し、走行中の自動車のヘッドランプを自動制御するデモを展示しました。
#5 InCar向けアップデートトータルソリューション

SDVの実現には、機能のアップグレードや不具合修正を目的としたOTAによるアップデート機能が不可欠です。ブースでは、eSOL製品の「Dr.CAN」および「Dr.Repro」を活用したInCar向けトータルアップデートソリューションをデモ展示しました。
#6 Renesas & eSOLで実現するSoftware-Defined System

ルネサス社とeSOLが密に連携し、MCU/MPU/SoC・ソフトウェアプラットフォーム・エンジニアリングサービスを提供します。ブースでは、R-Car V4Hを使った統合ECUデモおよびR-Car X5HとR-Car S4を使ったeMCOS®のデモを展示しました。
#7 産業向けリアルタイム3Dエンジン「eXRP」

自動車や産業領域では、より良いUI/UXやHMIが差別化の鍵となり、また生産工程での可視化と効率化も進んでいます。eXRPはそれらの実現を強力に支援する開発基盤です。ブースでは、活用事例の一つとしてVR/MR空間での車両デザインのデモを展示しました。
#8 ドライバモデル開発キット「eBRAD SDK」

eBRAD SDKは、ドライバの運転行動のモデル化と、モデルのパーソナライズを可能にします。これにより、自動運転や車載HMIにおける車と人の協調が実現できます。ブースでは、eBRAD SDKを使って構築したパーソナルドライバモデルによる自動運転デモを展示しました。
#9 セキュリティ対応を支援するツールチェーンおよびサービス

①Process/Project Consulting Service、Process Management Development Service
セキュリティや品質を高める為に必要となるプロセスやガイドラインの作成作業に関する、コンサルティングやプロジェクト管理環境の構築、およびプロジェクト支援のエンジニアリングサービスについてご紹介しました。
②Cyber Security対応支援ツール SAST/SCA/BCAソリューション
Cyber Security対応には、脆弱性検証を実施する静的解析ツールや脆弱性検証ツールが必要となります。ブースでは、脆弱性検証やSBOM管理が効率的に実施できるツールについてデモを交えてご紹介しました。
③Cyber Security対応ツールチェーン
セキュリティ対応開発を効率的に進めていくために必要となるツールチェーンや、脆弱性検証を効率的に実施するためのArm対応仮想ハードウェアによるテストプラットフォームについてデモを交えてご紹介しました。
次回「eSOL Technology Forum 2026」にてお待ちしております!
この度は「eSOL Technology Forum 2025」にご参加いただき、誠にありがとうございました。
ご多忙の中ご来場くださった皆様、心より感謝申し上げます。
また、今回はご都合が合わずご参加いただけなかった皆様におきましても、来年ぜひお越しいただけますと幸いです。
創業50周年という節目を迎えた本年を新たな出発点とし、eSOLはこれからも、ワールドクラスの”Full Stack Engineering”を通して、世界の人々のためのサイバーフィジカル社会の実現に貢献できるよう取り組んでまいります。
次回「eSOL Technology Forum 2026」にて、皆様とお会いできるのを楽しみにしております。
今後ともeSOLを何卒よろしくお願いいたします。