eSOL Marketing Official Blog

日本発の車載通信プロトコル規格「CXPI」とは?概要や特長を解説

2024/11/20 12:00:00

本記事では、日本発の車載通信プロトコル規格であるCXPIについて、特長および他プロトコルと比較したCXPIの優位性をご説明いたします。

さらに、イーソルが提供するAUTOSAR準拠のAUBIST CXPI製品をご紹介します。

 

CXPI(Clock Extension Peripheral Interface)とは

CXPIは、HMI(Human Machine Interface)領域で増え続ける1対1で接続された機器間のワイヤーハーネス削減(車両重量の削減)、多重化を目的に日本の自動車技術会で策定した日本発の車載通信プロトコル規格です。
※CXPI:Clock Extension Peripheral Interfaceの略称

スイッチやセンサ入力等からの応答性が求められるシステムでは、入出力機器間を1対1で接続していては、ワイヤーハーネスの増加による車両重量増が課題になることから、CANなどのネットワーク通信が導入されてきました。
その1つであるCXPIは、1線式であることから2線式のCANよりも配線のさらなる軽量化が可能でかつ低コスト、さらに、同様に1線式の通信規格であるLINでは実現できない応答性をも備えた、次世代のサブネットワーク通信規格として開発されました。

 

■ CXPI仕様は2020年にISO規格として制定

CXPI仕様は、JASO D015およびSAE J3076で規格化された後、2020年にISO 20794として国際標準規格となりました。

  • PART 2: APPLICATION LAYER
  • PART 3: TRANSPORT AND NETWORK LAYER
  • PART 4: DATA LINK LAYER AND PHYSICAL LAYER
  • PART 5: APPLICATION LAYER CONFORMANCE TEST PLAN
  • PART 6: TRANSPORT AND NETWORK LAYER CONFORMANCE TEST PLAN
  • PART 7: DATA LINK AND PHYSICAL LAYER CONFORMANCE TEST PLAN

 

■ 6つの特長

CXPIには、以下の特長があります。

①イベントトリガ方式とポーリング方式の2つのアクセス方式
・イベントトリガ方式は、CANと同様に、非破壊型の調停方式であるCSMA/CR(搬送波感知多重アクセス/衝突解消)方式を採用
・ポーリング方式は、LINと同様に、マスターから指示されたIDのデータを、その送信元となるスレーブ側が送信する方式を採用

②専用の通信コントローラを搭載せずとも、UARTを用いてCXPI通信を実現可能

③変調方式にPWMを採用
ビット毎の同期が可能。
マスタノードが通信バスへクロックを提供し、スレーブノードはこのクロックを用いて通信を行う。

④1線式バスを採用
クロック成分を含むデータを単線の通信バス上で送受信し、通信速度は最大20kbpsまで対応可能。

⑤Classic CANやLINの上限である8byteよりも長いフレームの送受信が可能
(メッセージ検査用データを付加しても通信帯域を確保しやすい)
データは1フレームで通常フレーム12byte、バーストフレーム255byteまで送信可能。

⑥エラー検知にCRCを採用
CRCを採用することによって通信の信頼性を確保。

 

■ 他プロトコルとの位置づけ

LINはシングルマスタによるスケジュールに基づいた定期送信のため、応答性が求められるシステムには不向きです。
一方CXPIはマスタノード以外の各ノードから任意のタイミングでデータを送信することが可能です。
またLINと比較したとき、ノードの追加削除に柔軟性があることや、CRCチェックによるデータの信頼性も高く、スレーブ間の通信も可能です。

 

▼遅延時間と通信速度に対するプロトコル比較

他プロトコルとの位置づけ

 

▼HMI領域の通信要件に対するプロトコル比較

仕様概要 CXPI LIN CXPI優位性
アクセス式方式 CSMA/CR方式 ポーリング 応答性が高い
エラー検出 8,16bit CRC Check Sum 信頼性が高い
最大データ長 255 Byte 8 Byte 使用効率が高い

 ※機能的にLINの置き換え可能

 
 

イーソルが提供する「AUBIST CXPI」概要

イーソルは、リアルタイム処理技術、ハイパフォーマンスコンピューティング、セーフ&セキュアを実現する車載ECU製品に対し、AUTOSAR準拠の車載プラットフォームソフトウェアおよび関連製品をAUBIST製品として提供しています。

AUBIST製品群のうち、「AUBIST CXPI」は上記で説明したCXPI通信サービス機能を提供するFC(Functional Cluster) です。

 

AUBIST CXPIは低コストの多重通信によるサブバスへの拡張・普及を狙う

狙い/優位性

  • デンソー社発の通信プロトコル│各OEMへのプロモーション中
    ※TMC車両には量産採用実績あり

  • 低コストの車載LANプロトコル
    ※直線 (じか線)多重化やLINからの置き換え
  • CANなどの高機能な車載LANのサブバスとしての使用を想定
    ※コンビスイッチ、ドアスイッチ、シートコントロール、レインセンサ、ワイパーコントロール、ミラーコントロール、エアコンスイッチなど

AUBIST CXPI狙い

 

AUBIST CXPIの開発コンセプト

AUBISTとして他機能に影響を与えずに提供

  • AUTOSAR CDD(Complex Driver)として関連モジュールと接続
  • AUBISTツールによるコンフィグレーション

パッケージの最適化を考慮

  • COM(通信共通)無しで動作可能な省リソース構成を考慮
  • AUTOSAR CPアーキテクチャにないCXPIスタックをCXPI専用COM、MCAL、トランシーバドライバをワンパッケージで提供
  • 対応OEM固有仕様に準拠
  • 機能安全対応

AUBIST CXPI_re

 

AUBIST CXPIソフトウェア構造

AUBIST CXPIソフトウェア構造

 

AUBIST CXPI機能概要(基本機能)

機能 概要
master/slave機能 マスターノード/スレーブノードに対応。 ※別パッケージで提供。
Wakeup/Sleep機能 CXPIプロトコルで規定のSleep/Standby/Normalモードの管理機能を提供。
また、モード遷移に伴いECUがスリープ可能かのAwake情報を提供。
フレーム通信機能 制御メッセージの送受信機能を提供。
マスタのスケジュールによる送信およびイベント送信の機能を提供。
エラー検出機能 CXPI通信プロトコルで規定の各エラー検出機能を提供。
また、検出エラーによっては復旧処理を実施。
・送信禁止
・フィジカルバスエラー
・データレングスエラー他
通知途絶監視機能 CXPI通信において一定期間フレーム受信できない場合に異常検出する機能を提供。

 

最後に

本記事ではCXPIおよび、イーソルが提供するAUBIST CXPIについてご紹介しました。

イーソルは、世界トップクラスの車載技術、豊富な車載経験を持つお客様達と共に培ったノウハウに基づき開発し、お客様のECU開発スタイルに合わせたスケーラブルな各製品を提供します。

お客様のご要望に対し柔軟なご提案が可能ですので、車載ECU
開発をご検討の場合はぜひお気軽にご相談ください。

オンライン無料相談はこちら

AUBIST製品資料ダウンロードはこちら



ビジネスマネジメント本部 技術営業部 H.K

最近の記事

ブログの更新通知を受け取る